360度人事評価とは、文字通り、評価される当事者の周りあらゆるところから評価することです。評価者を増やし、多くの面から人事評価を行えるので、より公平でかつ正確な人事評価を目指せます。
360度人事評価は、アメリカを中心に発展してきました。アメリカでは1980年代以降大企業を中心に導入され、現在では多くの企業に浸透しているようです。
従来の人事評価では、評価者である直属上司の評価能力不足や普段の仕事をこなしながらでは部下をよく観察できないなどの理由から、正当な評価ではないことがあり、部下にとっても納得できないところがありました。
360度人事評価のメリットは、直属上司以外の様々な面から評価することにより、公平な評価につながることです。また、評価される側も、上司だけでなく様々な評価者から評価されることにより、上司の顔色だけを気にして仕事をするということもなくなり、誰が見ていようといまいとやるべき職務に責任を持ち遂行する自覚が生まれるでしょう。
360度人事評価を導入するためには、なぜ導入するのか、何を評価するのか、誰が、いつ、どこで、どのような形で評価するのか等を、明確にしておくことが非常に大切です。360度人事評価は、現状よりも評価が複雑化することが予想されるため、導入のスケジュールやポイントをしっかりと検討することが重要です。
360度評価では、当然、より多くの評価者が参加するほど効果的ですが、評価する側の労力がその分大きくなります。したがって導入に際してはいきなり360度評価をはじめるのでなく、上司に加えて同僚が評価に参加する180度評価からはじめ、制度の定着度合いに応じて部下まで評価に参加する360度評価に移行する形をとり、段階的に導入するのも手でしょう。
360度評価を続けているうちに仲の良い同僚同士で”談合”が行われ公平性を欠くことも考えられるので、継続的に状況を把握していくべきでしょう。