セクハラを受けた女性社員が、その後反抗的になり業務命令にも従わない状態で、職場の雰囲気も悪化しています。できれば解雇したいのですがセクハラ被害者を解雇することは可能でしょうか?
セクハラの被害者であってもその後の勤務態度が悪く、職場秩序を著しく悪化させ看過することができないと認められるに至ったような場合には解雇等の処分が正当と認められることもあります。
セクハラを受けた被害者が行為者や会社に対し抗議し謝罪や再発防止策を求めることは当然で、会社としてはこの要求を真摯に受け止めて誠実に対応することが求められますが、そのことは必ずしも被害者の言動をすべて認めなければならないことにはなりません。
被害者が解雇された事例①:トイレで覗き見された女性が店長にその旨報告したところ誠意ある対応がなかったとして、店長にお茶を出さない、指示に 対し嫌な顔をするといった反抗的な態度を取るようになり、職場の雰囲気が悪化したとして退職させられた事件です。いつまでも店長に反抗的な態度をとり続け たことは相当でなく、支店の経営にも支障をきたしつつあったことを考慮すれば退職を求めたことは不相当とは言えないとする一方、原告も精神的苦痛を被った として会社に対し慰謝料等350万円の支払いを命じました。
被害者が解雇された事例②:原告が、上司に性的関係を求められたり卑猥な言動を受けたりしたことから、物を投げつけたり、罵倒したり、正当な業務 命令に対しても「上司面するな」などと言って怒鳴り散らすなどしたことから解雇された事件です。判決では、個々の事実については解雇事由とするには小さい としても、種々の言動は部下の上司に対する言動としての程度を超えており職場の秩序を乱すものとして、解雇を有効と認めました。