有期労働契約は、パート労働及び派遣労働等の、いわゆる正社員以外の労働形態に多く見られる労働契約のタイプです。現在、有期労働契約で働く人は全国で1,200万人と推計されています。そして、その約3割が通算5年を超えて有期労働を繰り返し更新しているのが実態であり、その下で生じる雇止めの不安解消が課題とされています。そこで、働く人が安心して働き続けることができるよう労働契約法が改正され、有期労働契約の適正な利用のためのルールが整備されました。

労働契約法改正のポイント
 今回の「労働契約法の一部を改正する法律」では、有期労働契約について、次のⅠ〜Ⅲの3つのルールを規定しています。

Ⅰ.無期労働契約への転換
 有期労働契約が反復更新されて通算5年(※)を超えたときは、労働者の申込みにより、期間の定めのない労働契約(無期労働契約)に転換できるルールです。
(※)5年のカウントは、このルールの施行日以後に開始する有期労働契約が対象です。施行日前に既に開始している有期労働契約は5年のカウントに含めません。

Ⅱ.「雇止め法理」の法定化
 最高裁判例で確立した「雇止め法理」が、そのままの内容で法律に規定されました。一定の場合には、使用者による雇止めが認められないことになるルールです。

◎対象となる有期労働契約
(1)過去に反復更新された有期労働契約で、その雇止めが無期労働契約の解雇と社会通念上同視できると認められるもの

★最高裁第一小法廷:昭和49年7月22日判決(東芝柳町工場事件)の要件を規定したもの

(2)労働者において、有期労働契約の契約期間の満了時に当該有期労働契約が更新されるものと期待することについて合理的な理由(※)があると認められるもの
★最高裁第一小法廷:昭和61年12月4日判決(日立メディコ事件)の要件を規定したもの

(※)合理的な理由の有無については、最初の有期労働契約の締結時から雇止めされた有期労働契約の満了時までの間におけるあらゆる事情が総合的に勘案されます。
(※)いったん、労働者が雇用継続への合理的な期待を抱いていたにもかかわらず、契約期間の満了前に使用者が更新年数や更新回数の上限などを一方的に宣言したとしても、そのことのみをもって直ちに合理的な理由の存在が否定されることにはならないと解されます。

◎要件と効果
 上記の(1)、(2)のいずれかに該当する場合に、使用者が雇止めをすることが、「客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められないとき」は、雇止めが認められません。従前と同一の労働条件で、有期労働契約が更新されます。

◎必要な手続
 条文化されたルールが適用されるためには、労働者からの有期労働契約の更新の申込みが必要です(契約期間満了後でも遅滞なく申込みをすれば条文化されたルールの対象となります)。
 ただし、こうした申込みは、使用者による雇止めの意思表示に対して、「嫌だ、困る」と言うなど、労働者による何らかの反対の意思表示が使用者に伝わるものでもかまわないと解されます。

Ⅲ.不合理な労働条件の禁止
 有期契約労働者と無期契約労働者との間で、期間の定めがあることによる不合理な労働条件の相違を設けることを禁止するルールです。

◎対象となる労働条件
 一切の労働条件について、適用されます。賃金や労働時間等の狭義の労働条件だけでなく、労働契約の内容となっている災害補償、服務規律、教育訓練、付随義務、福利厚生など、労働者に対する一切の待遇が含まれます。

◎判断の方法
 労働条件の相違が不合理と認められるかどうかは、
(1)職務の内容(業務の内容および当該業務に伴う責任の程度)
(2)当該職務の内容および配置の変更の範囲
(3)その他の事情
を考慮して、個々の労働条件ごとに判断されます。とりわけ、通勤手当、食堂の利用、安全管理などについて労働条件を相違させることは、上記(1)〜(3)を考慮して、特段の理由がない限り、合理的とは認められないと解されます。

Ⅳ.施行期日
 Ⅱについて:平成24年8月10日
 Ⅰ及びⅢについて:平成25年4月1日

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