厚生労働省では、非正規雇用問題に対する取り組みの一環として、有期契約労働者等の企業内でのキャリアアップを推進する事業主に対する包括的な助成制度を平成25年度に創設する予定です(現在予算要求中)。これに先立ち、平成25年1月から重点分野等(健康、環境、農林漁業等)の事業主に対して、人材育成についての助成のみ、前倒しで実施されています。
ガイドラインの概要
厚生労働省は、事業主が当該助成制度を活用する上で、配慮すべき事項として「有期契約労働者等のキャリアアップに関するガイドライン」を策定したものです。ただし、平成25年度予算要求中のことから、内容等変更になる場合があります。
ガイドラインの主な内容 (助成制度を活用する上で、配慮するよう努めることが望ましい事項) | |
(1)キャリアアップに向けた管理体制の整備 | 有期契約労働者等のキャリアアップに取り組む者を「キャリアアップ管理者」として位置付け |
(2)計画的なキャリアアップの取り組みの推進 | キャリアアップに向けた取り組みを計画的に進めるため「キャリアアップ計画」を作成 |
(3)正規雇用・無期労働契約への転換 | 有期労働契約から正規雇用・無期労働契約への転換、無期労働契約から正規雇用への転換の促進、無期転換後の処遇への配慮、正規雇用転換制度の対象者の範囲・方法・評価基準などの設定への配慮 |
(4)人材育成 | 職業能力や希望するキャリアパスに応じた計画的な教育訓練などの実施(目標の明確化) 若者に対するジョブ・カード制度を活用した実践的な教育訓練の実施、成長 分野の事業主による積極的な教育訓練の実施 |
(5)処遇改善 | 職務分析・職務評価の手法、ジョブ・カードや職業能力評価基準などの活用等による職務の内容や職業能力の評価、職務の内容などを踏まえた処遇への反映 |
(6)その他 | 法定外健康診断の導入、短時間正社員(注)への移行など、短時間労働者の希望に応じた社会保険適用に向けた所定労働時間の拡大 (注)通常の労働者と比べ所定労働時間が一定程度短い正規雇用の労働者をいう。 |
◎重点分野等の事業主を対象とした「人材育成」への助成を平成25年1月から前倒し。
日本再生人材育成支援事業奨励金 助成内容 | 中小企業 | 大企業 | |
Off-JTに対する助成 | 賃金助成(1訓練コース1人当たり) | 1時間800円 | 1時間500円 |
経費助成(1訓練コース1人当たり) | 上限30万円 | 上限20万円 | |
OJTに対する助成 有期実習型訓練を実施した場合に限定(※注) | 実施助成(1訓練コース1人当たり) | 1時間700円 | 1時間700円 |
(※注)「有期実習型訓練」とは、正社員経験が少ない人を対象に、安定的な雇用に就くために必要な技能の習得を目指す、3カ月以上6カ月(特別な場合は1年)以下の訓練をいいます。