厚生年金基金制度を見直すため厚生年金保険法などの改正法案が通常国会へ提出されました。厚生年金基金は、サラリーマンが加入する国の厚生年金に独自の給付を上乗せする企業年金の一つで、562基金に約400万人が加入しているものです。制度疲労が指摘される中、改正法案は大半の基金に解散などを促す内容となっています。
■法案の内容
(1)厚生年金基金制度の見直し(厚生年金保険法等の一部改正)
ア.施行日以後は、厚生年金基金の新設は認めない。
イ.施行日から5年間の時限措置として特例解散制度を見直し、分割納付における事業所間の連帯債務を外すなど基金の解散時に国に納付する最低責任準備金の納付期限・納付方法の特例を設ける。
ウ.施行日から5年後以降は、代行資産保全の観点から設定した基準を満たさない基金については、厚生労働大臣が第三者委員会の意見を聴いて、解散命令を発動できる。
エ.上乗せ給付の受給権保全を支援するため、厚生年金基金から他の企業年金等への積立金の移行について特例を設ける。
(2)第3号被保険者の記録不整合問題(※)への対応(国民年金法の一部改正)
保険料納付実績に応じて給付するという社会保険の原則に沿って対応するため、以下の措置を講ずる。
ア.年金受給者の生活の安定にも一定の配慮を行った上で、不整合記録に基づく年金額を正しい年金額に訂正
イ.不整合期間を「カラ期間」(年金額には反映しないが受給資格期間としてカウント)扱いとして、無年金となることを防止
ウ.過去10年間の不整合期間の特例追納を可能とし、年金額を回復する機会を提供(3年間の時限措置)
(※)サラリーマン(第2号被保険者)の被扶養配偶者である第3号被保険者(専業主婦等)が、第2号被保険者の離職などにより、実態としては第1号被保険者となったにもかかわらず、必要な届出を行わなかったために、年金記録上は第3号被保険者のままとなっていて不整合が生じている問題。
(3)その他(国民年金法等の一部を改正する法律等の一部改正)
障害・遺族年金の支給要件の特例措置及び国民年金保険料の若年者納付猶予制度の期限を10年間延長する。
■施行期日
(1)は、公布日から1年を超えない範囲の政令で定める日
(2)は、公布日から1月を超えない範囲の政令で定める日
但し、(ア)は施行から4年9月以内および(ウ)は施行から1年9月以内の政令で定める日
(3)は、公布日