行政機関等に係る申請、届出その他の手続に関し、適切な管理の下に個人等を識別するための番号を利用し、行政の効率化・スリム化を図るための「行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律案(通称「マイナンバー法」)」が、第183回通常国会に提出されました。
■マイナンバー法案の概要
◎個人番号(マイナンバー)
・市町村長は、法定受託事務として、住民票コードを変換して得られるマイナンバーを定め、書面により本人に通知。盗用、漏洩等の被害を受けた場合等に限り変更可。中長期在留者、特別永住者等の外国人住民も対象。
・マイナンバーの利用範囲を法律に規定。具体的には、
(ア)国・地方の機関での社会保障分野の事務、国税・地方税の賦課徴収及び防災等に係る事務での利用
(イ)当該事務に係る申請・届出等を行う者(代理人・受託者を含む)が事務処理上必要な範囲での利用
(ウ)災害時の金融機関での利用に限定
・マイナンバー法に規定する場合を除き、他人にマイナンバーの提供を求めることは禁止。本人からマイナンバーの提供を受ける場合、個人番号カードの提示を受ける等の本人確認を行う必要。
◎個人情報保護
・マイナンバー法の規定によるものを除き、特定個人情報(マイナンバー付きの個人情報)の収集・保管、特定個人情報ファイルの作成を禁止。
・特定個人情報の提供は原則禁止。ただし、行政機関等は情報提供ネットワークシステムでの情報提供などマイナンバー法に規定するものに限り可能。
・情報提供ネットワークシステムでの情報提供を行う際の連携キーとしてマイナンバーを用いないなど、個人情報の一元管理ができない仕組みを構築。
・国民が自宅のパソコンから情報提供等の記録を確認できる仕組み(マイ・ポータル)の提供、特定個人情報保護評価の実施、個人番号情報保護委員会の設置、罰則の強化など、十分な個人情報保護策を講じる。
◎法人番号
国税庁長官は、法人等に法人番号を通知。法人番号は原則公表。民間での自由な利用も可。
◎個人番号カード
市町村長は、住民からの申請により、顔写真付きの個人番号カードを交付。
◎平成28年1月以降利用開始予定
社会保障、税、防災等の各分野のうち可能な範囲のマイナンバー利用を開始する。
◎マイナンバーの利用範囲
利 用 分 野 | 利 用 範 囲 | |
社 会 保 障 分 野 | 年金分野 | 年金の資格取得・確認、給付を受ける際に利用 ・国民年金法、厚生年金保険法による年金である給付の支給に関する事務 ・国家公務員共済組合法、地方公務員等共済組合法、私立学校教職員共済法による年金である給付の支給に関する事務 ・確定給付企業年金法、確定拠出年金法による給付の支給に関する事務 ・独立行政法人農業者年金基金法による農業者年金事業の給付の支給に関する事務等 |
労働分野 | 雇用保険等の資格取得・確認、給付を受ける際に利用。ハローワーク等の事務等に利用 ・雇用保険法による失業等給付の支給、雇用安定事業、能力開発事業の実施に関する事務 ・労働者災害補償保険法による保険給付の支給、社会復帰促進等事業の実施に関する事務等 | |
福祉・医療・その他分野 | 医療保険等の保険料の徴収等、福祉分野の給付、生活保護の実施等低所得者対策の事務等に利用 ・児童扶養手当法による児童扶養手当の支給に関する事務 ・母子及び寡婦福祉法による資金の貸付け、母子家庭自立支援給付金の支給に関する事務 ・障害者自立支援法による自立支援給付の支給に関する事務 ・特別児童扶養手当法による特別児童扶養手当等の支給に関する事務 ・生活保護法による保護の決定、実施に関する事務 ・介護保険法による保険給付の支給、保険料の徴収に関する事務 ・健康保険法、船員保険法、国民健康保険法、高齢者の医療の確保に関する法律による保険給付の支給、保険料の徴収に関する事務 ・日本学生支援機構法による学資の貸与に関する事務 ・公営住宅法による公営住宅、改良住宅の管理に関する事務 | |
税分野 | 国民が税務当局に提出する確定申告書、届出書、調書等に記載。当局の内部事務等に利用 | |
防災分野 | 被災者生活再建支援金の支給に関する事務その他地方公共団体の条例で定める事務等に利用 |