平成15年の知的財産基本法の施行から10年が経過し、その間、中国を始めとする新興国のプレゼンスの向上、ビジネス環境のグローバル化・フラット化・オープン化、コンテンツメディアの多様化など、知的財産政策の前提となる経済社会情勢は急激に変容したことから、今後10年で知的財産における世界最先端の国となることを目指した基本政策が打ち出されました。

■知的財産政策ビジョンの概要

1.産業競争力強化のためのグローバル知財システムの構築

わが国企業がグローバルな事業活動を円滑に行えるよう、既に先進的な知財制度を有する各国とも協調しながら、新興国における質の高い知財制度の構築を促していく必要がある。

(1)日本企業が、アジアを始めとする新興国において知的財産権を的確に取得・活用できるよう、これらの国々に審査官を相当規模で派遣することなどを通じて、わが国の知的財産制度の更なる浸透を図るとともに、進出先において知的財産権を有効に活用できる環境を整備する。

(2)わが国の知的財産制度を国際的求心力の高い制度とするため、知的財産制度の基盤となる特許庁の審査体制について、任期付審査官の確保など、必要な整備・強化を図る。

(3)現在発明者帰属となっている職務発明制度について抜本的な見直しを図り、例えば、法人帰属又は使用者と従業者との契約に委ねるなど、産業競争力強化に資する措置を講ずることとする。また、営業秘密漏えいに関する保護を強化するための環境整備を推進するとともに、国際標準化に対する戦略的な取組を強化し、あわせて、国際的に通用する認証体制の整備を図る。

(4)産学官連携機能の強化に関して、大学などと中小・ベンチャー企業との共同研究や、大学などの知の中小・ベンチャー企業への技術移転を促すなどの取組を進める。

(5)グローバル知財人財を育成・確保するため、工業所有権情報・研修館を活用するなど、政府が主体となってその育成・確保を推進する。

2.中小・ベンチャー企業の知財マネジメント強化支援

中小・ベンチャー企業は、革新的な技術の創造の担い手として、また地域経済の担い手としてわが国の産業競争力の源泉をなす存在であり、その事業活動の活性化は日本経済の成長と発展のために必要不可欠である。

(1)中小・ベンチャー企業などの海外事業展開を支援するため、これら企業の海外での知的財産の権利化から権利行使までを一気通貫で支援するグローバル展開支援体制を拡充する。

(2)特許料などの減免制度について、中小・ベンチャー企業、小規模企業などが利用しやすくなるよう、またイノベーションの促進に資するよう見直す。

(3)中小・ベンチャー企業などの様々な経営課題にきめ細かく、かつ総合的に対応するため、知財総合支援窓口において、グローバル展開、著作権、不正競争防止法関連の相談にも対応できるよう、関係機関と連携しつつ強化を図る。

3.デジタル・ネットワーク社会に対応した環境整備

クラウドコンピューティングの進展を背景とした、コンテンツ産業の流通プラットフォーム構築のグローバル競争において、わが国は他国に後れを取っており、今後世界最高水準のプラットフォームを見据えた取組を強化する必要がある。また中小・ベンチャー企業の割合が高いコンテンツ産業の市場拡大に向けた環境醸成が求められている。

(1)消費財産業など他産業への波及効果が高いコンテンツ産業に対して、資源配分の重点化や施策の充実を図る。

(2)放送番組の二次利用などを促進するため、複雑な権利処理手続を一元的に管理する窓口機関を整備するなど、権利処理の円滑化のための取組を推進する。

(3)インターネットを活用したユーザーが作り出す新たなコンテンツの創造と自由な利用の促進や新たな産業の創出環境の整備を図るため、著作権関連制度の見直しや円滑なライセンシング体制の構築など制度の在り方等について検討を行い、必要な措置を講ずる。

(4)文化資産など各分野のデジタル・アーカイブ化やその連携を推進するとともに、次世代育成のため、教育の情報化の本格展開に向けて、デジタル教科書・教材の位置付け及びこれらに関連する教科書検定制度などの在り方と併せて著作権制度上の課題を検討し、必要な措置を講ずる。

4.コンテンツを中心としたソフトパワーの強化

クールジャパンという言葉に代表されるように、知的財産としてのマンガ、アニメ、ゲームといったコンテンツに止まらず、わが国独自の文化としてのファッション、食、伝統芸能・工芸、観光などまで含めてのソフトパワーを経済成長につなげるために、各分野の連携を図りつつ海外市場を取り込むことが重要である。

(1)関連産業との連携や海外現地放送局・配信事業者との提携などにより、将来のビジネス展開を見据えた各地域の文化やニーズに合わせたコンテンツの現地化、売り込み、海外のチャンネルや放送枠の確保を促進するとともに、産業化に向けたリスクマネー供給を促す機関を設置し、海外展開を行う企業の取組を継続的に支援する。

(2)留学・海外研修や海外クリエーターとの交流を通して、国際的に通用するクリエーター・プロデューサーを育成する。

(3)訪日外国人旅行者数の拡大や国際会議などの誘致に向けて、地域資源を活用し、日本の多様な魅力を発信するため、ソフトパワーと連携したビジット・ジャパン事業の推進を図る。

(4)ACTA(偽造品の取引の防止に関する協定)の早期発効及び参加拡大に向け、既署名国を中心とした他国に対して、ハイレベルを含めた働きかけをより積極的に進めるなど、海外における模倣品・海賊版対策の強化を図る。

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