企業が競争力を維持するためには、価値ある情報を「守り」、戦略的に「活用する」ことが重要です。経済産業省では、不正競争防止法による保護を受けられるような情報の管理方法等を解説している「営業秘密管理指針」を作成し公表しています。そして、この程、各種契約書の参考例等に加え、「競業避止義務契約の有効性」に関する参考資料を公表しました。

■競業避止義務契約の有効性について

競業避止義務契約の有効性に係る報告書等は、平成24年度経済産業省委託調査「人材を通じた技術流出に関する調査研究」の有識者による委員会において、関連する50以上の判例をもとに討議を行い、とりまとめられたものです。同報告書では、競業避止義務契約のみならず退職金や年金の支給制限についても、判例をもとに分析・検討を行っています。

◎競業避止義務契約が有効であると判断される基準

在職中の競業行為が認められないことはもちろんであるが、退職後について競業避止義務を課すことについては、職業選択の自由を侵害し得ること等から、制限的に解されていることは事実である。

この点、古い判例ながら今日においてもしばしば参照されている判例(奈良地判S45.10.23)は競業避止義務契約について、「債権者の利益、債務者の不利益及び社会的利害に立って、制限期間、場所的職種的範囲、代償の有無を検討し、合理的範囲において有効」であるとしている。

このように競業避止義務契約の有効性について争いとなった判例においては、多面的な観点から競業避止義務契約を締結することの合理性や契約内容の妥当性等を判断しており、近年の判例における判断のポイントについて理解しておくことは、競業避止義務契約の導入・見直しを検討する上で重要である。

◎競業避止義務契約の有効性に係るまとめ

競業避止義務契約締結に際して最初に考慮すべきポイント、競業避止義務契約の有効性が認められる可能性が高い規定のポイント、有効性が認められない可能性が高い規定のポイントは次のとおりである。

1

競業避止義務契約締結に際して最初に考慮すべきポイント

 

企業側に営業秘密等の守るべき利益が存在する。

上記守るべき利益に関係していた業務を行っていた従業員等特定の者が対象。

2

競業避止義務契約の有効性が認められる可能性が高い規定のポイント

 

競業避止義務期間が1年以内となっている。

禁止行為の範囲につき、業務内容や職種等によって限定を行っている。

代償措置(高額な賃金など「みなし代償措置」といえるものを含む)が設定されている。

3

有効性が認められない可能性が高い規定のポイント

 

業務内容等から競業避止義務が不要である従業員と契約している。

職業選択の自由を阻害するような広汎な地理的制限をかけている。

競業避止義務期間が2年超となっている。

禁止行為の範囲が、一般的・抽象的な文言となっている。

代償措置が設定されていない。

4

労働法との関係におけるポイント

 

就業規則に規定する場合については、個別契約による場合がある旨を規定しておく。

当該就業規則について、入社時の「就業規則を遵守します」等といった誓約書を通じて従業員の包括同意を得るとともに、十分な周知を行う。

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