インターネットショッピング等の電子商取引、情報財取引等に関する様々な法的問題点について、民法をはじめとする関連法律がどのように適用されるかを明らかにすることは、関係者の予見可能性を高める観点から重要なことから、経産省では、「電子商取引及び情報財取引等に関する準則」を公表していますが、この程、当該準則について改訂されました。

■電子商取引及び情報財取引等に関する準則の改訂概要

この度の準則改訂では、(1)新たな裁判例に伴う修正、(2)法改正に伴う修正、に関して検討が行われました。

具体的には、(1)新たな裁判例については、パブリシティ権に関する裁判例であるピンクレディー事件及び商標権侵害に関する裁判例であるチュッパチャプス事件に関する修正を、(2)法改正については、著作権法改正に伴う修正がそれぞれ行われました。

(1)新たな裁判例に伴う修正

◎ピンクレディー事件(最高裁第一小法廷平成24年2月2日判決)

◆準則.72-73頁

…ピンクレディー事件最高裁判決においても、「肖像等に顧客吸引力を有する者は、社会の耳目を集めるなどして、その肖像等を時事報道、論説、創作物等に使用されることもあるのであって、その使用を正当な表現行為等として受忍すべき場合もあるというべきである」とし、「専ら肖像等の有する顧客吸引力の利用を目的とするといえる場合に、パブリシティ権を侵害するものとして、不法行為上違法となる」と判断して「専ら」基準を採用した。そして、上記最高裁判決では、「専ら」基準において権利侵害が成立する次に掲げる典型的な三類型を提示している。

1.肖像等それ自体を独立して鑑賞の対象となる商品等として使用する場合

2.商品等の差別化を図る目的で肖像等を商品等に付する場合

3.肖像等を商品等の広告として使用する場合

上記の三類型のうち第1類型と第2類型は肖像等を「商品化」する場合であり、第3類型は、肖像等を「広告化」する場合をいうこととなる。表現行為、創作行為等に対する萎縮効果をできるだけ防ぐために、パブリシティ権侵害となる場面をできるだけ限定してこれを明確に示したものということができる 。

最高裁判決では、肖像権もパブリシティ権も同様に人格権に由来するものとしつつ、パブリシティ権は、肖像等それ自体の「商業的価値」に基づくものであると判断していることから、「精神的価値」とは明確に区分して「商業的価値」という人格の財産的側面のみを純化、抽出してこれを権利として構成し、限定的な保護を与えているものといえる 。

(2)著作権法改正に伴う修正

◎付随対象著作物としての利用(いわゆる「写り込み」)が、著作権侵害とならないとする規定(第30条の2関係)

◆準則.93頁

著作権法改正(平成24年法律第43号)により、いわゆる「写り込み」等に係る規定として、著作権法第30条の2が追加された。同規定は、写真の撮影等の方法によって著作物を創作するに当たって、当該著作物(写真等著作物)に係る撮影等の対象とする事物等から分離することが困難であるため付随して対象となる事物等に係る他の著作物(付随対象著作物)は、当該著作に伴って複製又は翻案することが侵害行為にあたらないことを明確にしたものとされている。

◎情報通信の技術を利用した情報提供の準備に必要な情報処理(データの送信のためにファイル形式を変換する処理)が著作権侵害とならないとする規定の整備(第47条の9関係)

◆準則.78頁

インターネット上で複製等を不可避的に伴うサービス開発・提供行為等に含まれる一定の著作物の利用行為等に関して、平成24年に著作権法が改正され、一定の場合に著作物を著作権者の許諾なく利用しても著作権侵害とならないことを定める権利制限規定が整備され、平成25年1月1日から施行されている。同改正により、インターネット上の掲示板、動画共有サイトやソーシャル・ネットワーキング・サービスにおいて、ユーザーが投稿したコンテンツのファイル形式を統一化したり、データを整理等するために必要な複製行為について、無許諾で行うことが可能とされた(著作権法第47条の9)。

◎著作権等の技術的保護手段に係る規定の整備(DVD等の暗号化技術についてもその回避を規制する規定)(第2条第1項第20号等関係)

◆準則.53頁

…また、「技術的保護手段の回避」とは、著作権法第2条第1項第20号に規定する信号の除去若しくは改変を行うこと又は同号に規定する特定の変換を必要とするよう変換された著作物、実演、レコード若しくは放送若しくは有線放送に係る音若しくは映像の復元(著作権等を有する者の意思に基づいて行われるものを除く。)を行うことにより、当該技術的保護手段によって防止される行為を可能とし、又は当該技術的保護手段によって抑止される行為の結果に障害を生じないようにすることとされている(著作権法第30条第1項第2号)。

◎違法ダウンロード刑事罰化に係る規定の整備(第119条第3項関係)

◆準則.18頁

…また、私的使用を目的とする場合であっても、それが権利者の許諾を得ずに自動公衆送信されているものであると知りながら音楽・映画などの録音物、録画物をダウンロードする行為は、他の権利制限規定で認められる複製に該当しなければ著作権又は著作隣接権の侵害に当たるものと解される(著作権法第21条、第30条第1項、第91条第1項、第96条、第98条、第100条の2、第102条第1項)。また、刑事責任の問題が生じる可能性もある(同法第119条第3項)。

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