飲酒運転や無免許運転のような悪質で危険な運転による死傷事件が後を絶ちませんが、これらの事件の中には、危険運転致死傷罪の要件に当てはまらないため、自動車運転過失致死傷罪が適用されたものもあり、悪質で危険な運転が原因であるのに過失犯、つまり不注意によって起きた事件として自動車運転過失致死傷罪として軽く処罰されるのはおかしいのではないかという被害者や遺族等の意見があったことから法制定に至ったものです。
■自動車運転処罰法のポイント
◎「危険運転致死傷罪」の適用対象が追加・新設
刑法から移行された危険運転致死傷罪に、
・一方通行路や高速道路の逆走、歩行者天国の暴走など「通行禁止道路(政令で定める)を危険な速度で走行
が追加され、更に
・アルコールや薬物の影響で正常な運転に支障が生じるおそれがある状態で自動車を運転
・幻覚や発作を伴う病気(政令で定める)の影響で正常な運転に支障が生じるおそれがある状態で自動車を運転
が新設されました。
これらにより人を死亡させた場合は15年以下の懲役刑、負傷させた場合は12年以下の懲役刑となります。
◎「過失運転致死傷アルコール等影響発覚免脱罪」が新設
アルコールや薬物の影響で、運転上必要な注意を怠り死傷事故を起こした場合に、その影響の有無や程度の発覚を免れるために、
・更にアルコールや薬物を摂取する
・その場を離れて身体に保有するアルコールや薬物の濃度を減少させる
などをすると、12年以下の懲役となります。なお、その場から逃げた場合には、これとは別にひき逃げの罪も成立し、その場合、最高で18年の懲役刑に処せられます。
◎「過失運転致死傷罪」に名称変更
刑法から自動車運転過失致死傷罪が移行され、「過失運転致死傷罪」に名称が変更されました。
◎無免許運転の場合
無免許運転で死傷事故を起こすと、法定刑が重くなります。
◎施行日
平成26年5月20日