近年、有期契約労働者の働き方が多様化し、補助的な業務のみならず、正社員と同じ職務を担い、1週間の所定労働時間が正社員とほぼ同じ有期契約労働者も増えています。しかし、有期契約労働者の中に「産前・産後休業、育児休業は正社員だけの制度である」との誤った認識を持っている人が少なくないという調査結果も出ていることから、厚労省は、有期契約労働者の育児休業ハンドブックを作成しました。

◎有期契約労働者の産前・産後休業と育児休業

労働基準法で定められた産前・産後休業は(労働契約が有期か無期か、正社員かパートかなどといったことに関わらず)誰でも取得できるということを認識する必要があります。

※産前休業は出産予定日の6週間前(多胎妊娠の場合は14週間前)から本人の請求によって取得できるものです。

また、産後休業は出産の翌日から8週間の休業で、6週間は強制的な休業ですが、6週間を経過した後は、労働者本人が請求し、医師が支障ないと認めた業務に就かせることは差し支えありません。

育児休業は、有期契約労働者も一定の要件を満たした場合に、 原則として子が1歳に達する日(誕生日の前日)までの間で申し出た期間、取得することができます。

有期契約労働者本人を対象にした調査(以下、有期契約労働者調査)によると、勤務先に制度がなくても産前・産後休業を取得できることについて、「知っていた」が19.6%、また、一定の要件を満たした有期契約労働者が育児休業を取得できることについては、「知っていた」が21.8%と、ともに2割程にとどまっています。

◎産前・産後休業、育児休業取得における管理職・上司の理解・協力

有期契約労働者の場合、雇用・労働条件管理の全てを企業の人事部門が担当するのではなく、現場の管理職に任されるケースもあることから、職場の管理職・上司の理解・協力が重要になってきます。

しかしながら、管理職(上司)に対しては、育児休業等の制度に関する情報提供は十分に行われていないのが実情のようであり、管理職調査を見ると、所属する企業・組織から有期契約労働者の産前・産後休業、育児休業制度に関する説明を受けたことの有無について、5割強の管理職(上司)が説明を受けたことがないと回答しています。

◎産前・産後休業、育児休業の取得促進の意義

育児休業の取得促進は、6割以上の企業が有期契約労働者にとってのメリットとして「人材の定着・継続就業につながる」をあげています。

有期契約労働者調査によると、今後の働き方に関する考え方については、「仕事を続けながら子供を生み育てる」という、継続就業への意欲を持っている労働者が6割を超えており、育児休業取得の支援に積極的に取組み、働きやすい職場環境を整備することが、人材の定着に繋がる重要なポイントの一つになっている。

◎妊娠・出産期のトラブル防止

コンプライアンスは、単に法令違反をしない、トラブルを防止するということにとどまらず、社内規則やマニュアル等の整備を進めるとともに、その適正な運用によって実効性を高めていくことが社会的な要請になっています。労働関係法規を遵守することは、従業員が安心して長く働くことのできる良好な職場環境を整備する上での基本になります。有期契約労働者に対しても、育児休業等の制度を整備し、利用促進を図ることは企業の社会的責任といえます。

◎育児休業制度等に関する簡易チェックリスト

 育児休業制度等に関して、現在の自社の対応に問題がないか、チェックしてみてください。

【妊娠から産前・産後休業、育児休業の取得まで】

チェック内容

チェック

・妊娠中の女性が請求した場合、他の軽易な業務に転換させる制度(制度化されていない場合は、対応方針)がありますか?

Yes・No

・6週間以内に出産する予定の女性が産前休業取得を請求した場合、休業させていますか?

また、出産後8週間経過しない女性を休業させていますか?

Yes・No

・女性労働者の結婚、妊娠、出産を理由に、あるいは産前・産後休業等の申請を理由に解雇したり雇い止めしたりしていませんか?

Yes・No

・保健指導や健康診査のため、妊産婦が通院に必要な時間を確保することができるようにしていますか?

Yes・No

【復職後】

チェック内容

チェック

・産後1年未満の女性労働者に、授乳その他の世話を行うための育児時間を、通常の休憩時間以外に1日2回各々30分与えていますか?

Yes・No

・3歳に満たない子を養育する労働者について、労働者が希望すれば取得できる短時間勤務制度を設けていますか?

Yes・No

・3歳に満たない子を養育する労働者が請求した場合、所定外労働を免除していますか?

Yes・No

・子の看護休暇(小学校入学までの子を養育する労働者が、会社に申出ることにより、小学校就学前の子1人につき年5日まで、2人以上であれば年10日まで、病気や怪我をした子の看護または子に予防接種・健康診断を受けさせるために取得できる休暇)を取得させていますか?

Yes・No

◎育児休業を取得できる有期契約労働者の要件

以下の要件をすべて満たす有期契約労働者から育児休業取得の申出があった場合には、育児休業を取得させなければなりません。

要件1:同一の事業主に引き続き1年以上雇用されていること

要件2:子の1歳の誕生日以降も引き続き雇用されることが見込まれること

要件3:子の2歳の誕生日の前々日までに、労働契約の期間が満了して、かつ、契約が更新されないことが明らかでないこと

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