近年、ホテルや百貨店、レストラン等において、メニュー表示と異なった食材を使用して料理を提供していた事案が発生したことから、食に対する消費者の安全・安心の確保を図るため、国及び都道府県の不当表示等に対する監視指導態勢を強化するとともに、事業者に表示等に係る適切な管理体制の整備を義務付ける等の措置を講じるための法改正が行われます。
■不当景品類及び不当表示防止法等の一部改正律の概要
◎消費者の安全・安心をめぐる問題
<食品表示等の不正事案の多発>
・ホテルや百貨店、レストラン等において、メニュー表示と異なった食材を使用して料理を提供していた事案
・「日本の食」に対する国内外の信頼が揺らぎかねない事態
<高齢者等の消費者被害の深刻化>
・高齢者からの消費生活相談は、高齢者人口の伸び以上に増加
年間約20万件:平成24年度
・二次被害に遭う高齢者も増加
年間約9,000件:平成24年度
・消費者被害の背景には社会的孤立、認知力の低下、生活困窮
◎改正の基本的な考え
政府は、消費者庁関連法三法施行後3年以内に、地方公共団体の消費者政策の実施に対し国が行う支援の在り方について所要の法改正を含む全般的な検討を加え、必要な措置を講ずるとされていた。
<地方をはじめとする消費者行政の体制整備>
・不当表示に対する監視指導体制の強化
・消費者安全の確保及び持続可能な地域の見守りネットワークづくり
・どこに住んでいても質の高い相談が受けられる体制の整備
・消費者行政職員・消費生活相談員の確保と資質向上
<事業者のコンプライアンスの確立(適確な表示)>
・事業者の表示管理体制を明確化
<消費者教育の推進>
・誰もが消費者教育を受けられる機会の確保、消費者からの情報の活用
◎不当景品類及び不当表示防止法の改正
1.行政の監視指導体制の強化
景品表示法は消費者庁が中心となって法執行を行っているが、多数の事業者を対象とした監視指導を行うには体制面で限界
(1)消費者庁を中心とする国における体制強化
・消費者庁を中心として関係省庁が連携し、表示に関する監視指導を強化するための体制を確立
(2)都道府県知事の権限強化
・都道府県知事に対して、景品表示法に基づく措置命令権限を付与
2.事業者の表示管理体制の強化
事業者による表示の重要性の意識、コンプライアンス(法令・社会規範の遵守)意識が欠如
・食品表示等に関するコンプライアンス強化のため、事業者における表示に関する管理体制の明確化
3.課徴金制度の導入に係る検討規定
◎消費者安全法の改正
1.地域の見守りネットワークの構築
・地方公共団体による「消費者安全確保地域協議会」の設置
・地域で活動する「消費生活協力員」「消費生活協力団体」を育成・確保
2.消費生活相談等により得られた情報の活用に向けた基盤整備
・協議会の構成機関・構成員が消費生活相談等により得られた情報を「地域協議会」の活動等のために共有するとともに、秘密保持義務規定や情報管理等のルールを整備
3.消費生活相談体制の強化
・都道府県の事務として、市町村に対する助言・協力、広域連携の調整
・民間委託受託者に対し、秘密保持義務、最低限求められる要件を課す
4.消費者行政職員及び消費生活相談員の確保と資質向上
・消費者行政職員及び消費生活相談員に対する研修の実施等
・「消費生活相談員」の職を法律に位置付け
・資格試験制度を法定化し、消費生活相談員を資格試験の合格者及びこれと同等以上の知識・技術を有する者から任用(所要の経過措置)。
・要件を満たし、内閣総理大臣の登録を受けた法人が試験を実施
・都道府県は、消費生活相談員の中から「指定消費生活相談員」を指定