第186回通常国会で、議員立法による過労死等防止基本法案が審議されています。本法案は、わが国において過労死等が多発し大きな社会問題となっていること及び過労死等が、本人はもとより、その遺族又は家族のみならず社会にとっても大きな損失であることから、過労死の基本理念を定め、国や自治体の責務を明らかにするとともに、過労死等を防止するための施策の基本となる事項を定めることとしています。

■法律案の概要

法案は、過労死等の防止のための対策を効果的に推進することを国の責務と定め、(1)過労死等の防止のための対策に関する大綱の策定義務、(2)過労死等の概要および政府が講じた施策の状況に関する報告書の国会提出義務、 (3)厚生労働省内における過労死等防止対策推進協議会の設置、(4)過労死等防止啓発月間(11月)の設定などを規定しています。

◎定義(第2条関係)

この法律において「過労死等」とは、業務における過重な負荷による脳血管疾患若しくは心臓疾患を原因とする死亡若しくは業務における強い心理的負荷による精神障害を原因とする自殺による死亡又はこれらの脳血管疾患若しくは心臓疾患若しくは精神障害をいうこと。

◎基本理念(第3条関係)

・過労死等の防止のための対策は、過労死等に関する実態が必ずしも十分に把握されていない現状を踏まえ、過労死等に関する調査研究を行うことにより過労死等に関する実態を明らかにし、その成果を過労死等の効果的な防止のための取組に生かすことができるようにするとともに、過労死等を防止することの重要性について国民の自覚を促し、これに対する国民の関心と理解を深めること等により、行われなければならないこと。

・過労死等の防止のための対策は、国、地方公共団体、事業主その他の関係する者の相互の密接な連携の下に行われなければならないこと。

◎国の責務等(第4条関係)

・国は、過労死等の防止のための対策を効果的に推進する責務を有すること。

・地方公共団体は、国と協力しつつ、過労死等の防止のための対策を効果的に推進するよう努めなければならないこと。

・事業主は、国及び地方公共団体が実施する過労死等の防止のための対策に協力するよう努めるものとすること。

・国民は、過労死等を防止することの重要性を自覚し、これに対する関心と理解を深めるよう努めるものとすること。

◎過労死等防止啓発月間(第5条関係)

国民の間に広く過労死等を防止することの重要性について自覚を促し、これに対する関心と理解を深めるため、過労死等防止啓発月間(11月)を設けること。

◎年次報告(第6条関係)

政府は、毎年、国会に、わが国における過労死等の概要及び政府が過労死等の防止のために講じた施策の状況に関する報告書を提出しなければならないこと。

◎過労死等の防止のための対策に関する大綱(第7条関係)

政府は、過労死等の防止のための対策を効果的に推進するため、過労死等の防止のための対策に関する大綱を定めなければならないこと。

◎相談体制の整備等(第10条関係)

国及び地方公共団体は、過労死等のおそれがある者及びその親族等が過労死等に関し相談することができる機会の確保、産業医その他の過労死等に関する相談に応じる者に対する研修の機会の確保等、過労死等のおそれがある者に早期に対応し、過労死等を防止するための適切な対処を行う体制の整備及び充実に必要な施策を講ずるものとすること。

◎過労死等防止対策推進協議会(第12条及び第13条関係)

厚生労働省に、過労死等防止対策推進協議会を置くこと。

◎施行期日

公布の日から起算して6カ月を超えない範囲内において政令で定める日から施行。

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