今回の改正では、短時間労働者の雇用管理の改善等を図るため、差別的取扱い禁止の対象となる通常の労働者と同視すべき短時間労働者について、期間の定めのない労働契約を締結していることとする要件を削除するとともに、事業主等に対する国の援助及び短時間労働援助センターを廃止する等の措置が講じられました。
■改正法の概要
1.短時間労働者の待遇の原則
事業主が、その雇用する短時間労働者の待遇を、当該事業所に雇用される通常の労働者の待遇と相違するものとする場合においては、当該待遇の相違は、当該短時間労働者及び通常の労働者の業務の内容及び当該業務に伴う責任の程度(以下「職務の内容」という。)、当該職務の内容及び配置の変更の範囲その他の事情を考慮して、不合理と認められるものであってはならないものとすること。
2.差別的取扱いの禁止の対象短時間労働者の範囲の拡大等
(1)差別的取り扱いの禁止の対象となる通常の労働者と同視すべき短時間労働者について、事業主と期間の定めのない労働契約を締結しているものとの要件を削除すること。
(2)職務の内容が当該事業所における通常の労働者と同一の短時間労働者(通常の労働者と同視すべき短時間労働者を除く。)であって、当該事業主に雇用される期間のうちの少なくとも一定の期間において、その職務の内容及び配置が当該通常の労働者の職務の内容及び配置の変更の範囲と同一の範囲で変更されると見込まれるものについての賃金の決定方法に係る努力義務の規程を削除すること。(法第9条第2項の削除)
3.雇用管理の改善等に関する措置の内容の説明義務の新設
事業主は、短時間労働者を雇い入れたときは、速やかに、差別的取扱いの禁止等の規定により措置を講ずべきとされている事項(※)に関し講ずることとしている措置の内容について、当該短時間労働者に説明しなければならないものとすること。
※労働基準法第15条第1項に規定する厚生労働省例で定める事項及び当該省令で定める事項以外のものであって厚生労働省令で定める事項を除く。
4.相談のための体制の整備
事業主は、短時間労働者の雇用管理の改善等に関する事項に関し、その雇用する短時間労働者からの相談に応じ、適切に対応するために必要な体制を整備しなければならないものとすること。
5.公表
短時間労働者の雇用管理の改善等に関する措置の規定に違反している事業主に対し、厚生労働大臣がその違反に対し勧告をした場合において、その勧告を受けた者がこれに従わなかったときは、その旨を公表することができるものとすること。
6.虚偽報告等に対する過料
報告徴収の規定による報告をせず、又は虚偽の報告をした者は、20万円以下の過料に処するものとすること。
7.短時間労働援助センターの廃止等
(1)短時間労働援助センターの廃止
短時間労働者の雇用管理の改善等の援助等を受けて行う指定法人に係る規定を削除するものとすること。
(2)事業主等に対する援助
国は、短時間労働者の雇用管理の改善等の促進その他その福祉の増進を図るため、短時間労働者を雇用する事業主等に対して、短時間労働者の雇用管理の改善等に関する事項についての相談及び助言その他の必要な援助を行うことができるものとすること。
8.施行期日
公布の日(平成26年4月23日)から1年内の政令で定める日