平成25年6月に閣議決定された「日本再興戦略」などを踏まえ、有識者懇談会において「多様な正社員」の雇用管理をめぐる課題について検討されてきましたが、この程、企業における多様な正社員の円滑な導入、運用のための労使の効果的な取組をまとめた提言が公表されました。

■有識者懇談会の提言概要

1.多様な正社員の効果的な活用が期待できるケース

(1)勤務地限定正社員の活用が期待できるケース

・育児や介護の事情で転勤が難しい者などについて、就業機会の付与と継続を可能とする。

・有期契約労働者の多い業種において、改正労働契約法に基づく有期契約労働者からの無期転換の受皿として活用できる。

(2)職務限定正社員の活用が期待できるケース

・金融、ITなどで特定の職能について高度専門的なキャリア形成が必要な職務において、プロフェッショナルとしてキャリア展開していく働き方として活用できる。

・高度な専門性を伴わない職務に限定する場合、職務の範囲に一定の幅を持たせた方が円滑な事業運営に資する。

(3)勤務時間限定正社員の活用が期待できるケース

・育児や介護の事情で長時間労働が難しい者などについて、就業機会の付与と継続を可能とする。

・労働者がキャリア・アップに必要な能力を習得する際に、自己啓発のための時間を確保できる働き方として活用できる。

2.労働者に対する限定の内容の明示

・労働契約法第4条の書面による労働契約の内容の確認の対象としては、職務や勤務地の限定も含まれる。

3.事業所閉鎖や職務の廃止などへの対応

(1)整理解雇

・勤務地や職務が限定されていても、事業所閉鎖や職務廃止の際に直ちに解雇が有効となるわけではなく、整理解雇法理(4要件・4要素)を否定する裁判例はない。

・解雇の有効性は、人事権の行使や労働者の期待に応じて判断される傾向がある。

(2)能力不足解雇

・多様な正社員についても、能力不足を理由に直ちに解雇することが認められるわけではなく、高度な専門性を伴わない職務限定では、改善の機会を付与するための警告に加え、教育訓練、配置転換、降格などが求められる傾向がみられる。

4.転換制度

<非正規雇用の労働者から多様な正社員への転換>

・非正規雇用の労働者の希望に応じて、雇用の安定を図りつつ勤続に応じた職業能力開発の機会や処遇が得られるよう、多様な正社員への転換制度(社内のルール)を設けることが望ましい。

<いわゆる正社員と多様な正社員の間の転換>

・労働者のワーク・ライフ・バランスの実現などのため、いわゆる正社員から多様な正社員へ転換できることが望ましい。他方、キャリア形成への影響やモチベーション維持のため、いわゆる正社員への再転換ができることが望ましい。

・労働契約法第3条第3項の「仕事と生活の調和への配慮」に、多様な正社員への転換制度も含まれる。

5.均衡処遇

・多様な正社員といわゆる正社員との双方に不公平感を与えず、また、モチベーションを維持するため、多様な正社員といわゆる正社員の間の処遇の均衡を図ることが望ましい。

・労働契約法第3条第2項の「就業の実態に応じた均衡の配慮」には、多様な正社員といわゆる正社員 との間の均衡処遇も含まれる。

6.いわゆる正社員の働き方の見直し

・多様な正社員の働き方を選びやすくするため、所定外労働、転勤や配置転換の必要性や期間などの見直しなど、いわゆる正社員の働き方を見直すことが望ましい。

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