中小企業庁は、閣議決定された平成26年12月27日付「地方への好循環拡大に向けた緊急経済対策」及び平成27年1月9日付「平成26年度補正予算案」を踏まえ、事業規模9兆円の金融支援により、中小企業・小規模事業者に対する資金繰り支援や事業再生支援に万全を期すとしています。
1.政府系金融機関による資金繰り支援
(1)概要
原材料・エネルギーコスト高などの影響を受ける中、資金繰りに困難を来たす中小企業・小規模事業者や省エネ投資を促進する事業者に対して、日本政策金融公庫や商工中金等が経営支援を含む資金繰り支援を行う。さらに、女性等による創業や円滑な事業承継など、地域における前向きな取組、また、NPO法人等の新たな事業・雇用の担い手に対応した融資を促進する。
(2)継続・拡充・創設する主な融資制度の概要
ア)「原材料・エネルギーコスト高対策パッケージ融資」
・「セーフティネット貸付」の継続・拡充(運転資金)
利益率が低下している場合や厳しい業況にあり認定支援機関等の経営支援を受ける場合に、金利を最大0.6%(小規模事業者は最大0.8%)引き下げ。
⇒貸付限度額:中小企業事業・商工中金7億2,000万円、国民生活事業4,800万円
・「省エネルギー促進融資」の創設(設備資金)
利益率が低下している中で、省エネルギーに資する施設等を取得し、省エネルギーを推進する場合に、金利を0.65%引き下げるとともに、従来とは別枠の貸付限度額とする。
⇒貸付限度額(別枠):中小企業事業7億2,000万円、国民生活事業7,200万円
イ)創業支援・地方創生関連等
・「創業支援貸付利率特例制度」の創設
創業前や創業後1年以内の場合に、金利を0.2% (女性や若者、U/Iターンによる創業者は0.3%)引き下げ。
・「事業承継・集約・活性化支援資金」の創設
事業の承継等に当たり、安定的な経営権の確保や付加価値向上などを行う場合に、金利を0.4%引き下げ。
⇒貸付限度額:中小企業事業7億2,000万円、国民生活事業7,200万円
※資本性劣後ローンを、従来とは別枠の貸付限度額(中小企業事業3億円、国民生活事業4,000万円)で利用することが可能。
2.信用保証協会による資金繰り支援
(1)概要
条件変更を繰り返す中小企業・小規模事業者などに対し、信用保証協会が地域金融機関と連携して経営支援を実施し、また、経営力強化保証等による借換保証を推進することにより、経営支援と一体となった資金繰り支援を行う。また、災害対応を支える信用保証の迅速化・柔軟化を図る。
(2)主な施策の概要
ア)経営支援と一体となった資金繰り支援
・借換保証の推進
既往の保証付き融資を新たな保証付き融資に借り換えるに当たり、複数債権を一本化し、返済ペースを見直すことで、月々の返済負担が軽減されるほか、新たに据置期間を設けることも可能。また、経営力強化保証(※)等を活用することで、経営支援と一体となった資金繰りを支援。
※経営力強化保証とは、中小企業・小規模事業者が外部の専門家(金融機関、税理士等)の力を借りながら、経営改善に取り組む場合に保証料を減免(概ね▲0.2%)し、金融面だけでなく、経営の状態を改善する取組を強力にサポートする制度。
・信用保証協会による積極的な経営支援
経営の安定に支障が生じ、条件変更を繰り返す中小企業・小規模事業者などの経営改善を促進するため、信用保証協会において、地域金融機関等と連携した経営支援の取組を一層強化。
イ)自然災害への対応の強化
・セーフティネット保証4号の迅速化・柔軟化
近年、短時間強雨の発生回数が増加し、被害が顕在化していることなどを踏まえ、セーフティネット保証4号について、災害救助法が適用された時点で発動するなど、運用基準を弾力化し、自然災害に迅速かつ柔軟に対応することで、被災中小企業・小規模事業者の一層の安全・安心を確保する。