わが国経済を持続的発展の軌道に乗せるためには、経済社会情勢の変化に対応して、中小企業者の事業活動の活性化を一層図ることが重要であるとの認識から、各省庁等が新規中小企業者をはじめとする中小企業者の受注の機会の増大を図るため、中小企業関連3法が改正されるものです。
Ⅰ.改正法案の趣旨
経済の好循環に向け、創業間もない中小企業の官公需の受注促進と消費者嗜好を捉えた「ふるさと名物」の開発・販路開拓により地域の需要創生を実現するため、次の3法改正案が第189回通常国会に提出されます。
・「官公需についての中小企業者の受注の確保に関する法律」
・「中小企業による地域産業資源を活用した事業活動の促進に関する法律」
・「独立行政法人中小企業基盤整備機構法」
Ⅱ.改正法案の概要
1.官公需についての中小企業者の受注の確保に関する法律の一部改正
(1)新規中小企業者(創業10年未満の中小企業者)への配慮
創業10年未満の中小企業者を「新規中小企業者」として定義し、官公需において、国等の契約の相手方として活用されるよう配慮する旨を法律で定めること。
(2)国の契約方針(基本方針)の策定
新規中小企業者をはじめとする中小企業者の受注の機会の増大を図るため、新規中小企業者等からの契約目標の設定や受注機会増大のための措置等を盛り込んだ、「国の基本方針」を策定すること。
(3)各省各庁等(公庫・独立行政法人等を含む)の契約方針の策定
各省各庁等がそれぞれの実態に応じて、基本方針に即した新規中小企業者等との契約に関する「契約の方針」を策定すること。
(4)契約実績の概要の公表
経済産業大臣は、各省各庁等が新規中小企業者をはじめとする中小企業者との間でした国等の契約の実績の概要を公表すること。
(5)独立行政法人中小基盤整備機構による協力業務
独立行政法人中小基盤整備機構(以下「中小機構」という。)は、各省各庁等の依頼に応じて、中小企業に関する情報の提供等の協力業務を行うこと。
2.中小企業による地域産業資源を活用した事業活動の促進に関する法律の一部改正
(1)市区町村の関与
市区町村が、ア)都道府県が指定する地域産業資源の内容について意見を申し出ることができること、イ)中小機構から地域産業資源活用事業者等に対する貸付資金の供給を受けられること、ウ)中小企業による地域産業資源活用事業等を促進するため、地域の実情に応じた総合的かつ計画的な施策を策定・実施するよう努めること等、積極的な関与を法律で定めこと。
(2)地域産業資源活用支援事業計画の創設及びその特例措置
一般社団法人等が、地域産業資源を活用した商品等の需要の動向に関する情報の提供等を行う地域産業資源活用事業を支援するための計画を作成し、主務大臣の認定を受けた場合、中小企業信用保険法や食品流通構造改善促進法の特例措置を受けることができるようになること。
(3)地域産業資源活用事業の拡充等
「地域産業資源活用事業」の対象に、農業体験や産業観光等に係る事業を追加。また、小売事業者等、地域産業資源活用事業の実施に協力する者がある場合、その協力の内容等を地域産業資源活用事業計画に記載することができるようになること。
3.独立行政法人中小企業基盤整備機構法の一部改正
(1)市区町村への協力
中小企業の事業活動を支援する市区町村に対して必要な協力を行うこと。
(2)検査権限の委任
中小機構への立入検査の権限の一部を経済産業省が金融庁に委任することができるようになること。
Ⅲ.施行期日
公布の日から3月を超えない範囲の政令で定める日。ただし、中小機構法に基づく立入検査の権限委任の規定については、平成27年10月1日を予定。