障害者を多数雇用するなど、障害者の雇用や就業に積極的な企業は、税制優遇制度を利用することができます。具体的には、一定の要件のもとで法人税(個人事業主の場合は所得税)や事業所税、不動産取得税、固定資産税の優遇措置が受けられるものです。
■税制優遇制度の概要
1.機械等の割増償却措置(法人税・所得税)
障害者を多数雇用する事業所が減価償却を行う際、その事業年度、またはその前5年以内に開始した各事業年度に取得・製作、建設した機械や設備などについて、普通償却限度額に加えて、機械は24%、工場用建物は32%の割増償却をすることができます。
◎適用期限:平成28年3月31日
◎対象となる事業所の要件
次のいずれかの要件を満たす事業所
(1)労働者の総数に占める障害者の割合が50%以上(※1)
(2)雇用している障害者数が20人以上であり、かつ労働者の総数に占める障害者の割合が25%以上(※1)
(3)法定雇用率を達成している事業主で、雇用している障害者数が20人以上(※2)
であり、かつ雇用障害者に占める重度障害者(※3)の割合が50%以上(※2)
(※1)短時間労働者を除く重度障害者は1人を2人としてカウント(ダブルカウント)
重度以外の障害者である短時間労働者は1人を0.5人としてカウント
(※2)ダブルカウントなし。短時間労働者は1人を0.5人としてカウント
(※3)重度身体・重度知的・精神障害者
2.助成金の非課税措置(法人税・所得税)
国や地方公共団体の補助金、給付金、障害者雇用納付金制度に基づく助成金※の支給を受け、それを固定資産の取得または改良に使った場合、その助成金分については、圧縮記帳により損金算入(法人税)、または総収入金額に不算入(所得税)とすることができます。
◎適用期限:なし(恒久措置)
※障害者雇用納付金制度に基づく助成金
障害者作業施設設置等助成金、障害者福祉施設設置等助成金、重度障害者等通勤対策助成金、重度障害者多数雇用事業所施設設置等助成金、障害者能力開発助成金
3.事業所税の軽減措置
◎資産割
障害者を多数雇用する事業所が助成金の支給を受けて施設の設置を行った場合、その施設で行う事業にかかる事業所税について、課税標準となるべき事業所床面積の2分の1に相当する部分について控除できます。
◎従業員割
事業所税の課税標準となるべき従業員給与総額の算定について、障害者に支払う給与総額を控除できます。
◎適用期限:なし(恒久措置)
資産割のみ、以下の要件を満たす必要があります。従業員割には特に要件はありません。
◎対象となる事業所の要件
雇用している障害者数が10人以上(※1)であり、かつ労働者の総数に占める障害者割合が50%以上(※2)
(※1)重度以外の障害者で短時間労働者は1人を0.5人としてカウント
(※2)短時間労働者を除く重度障害者は1人を2人として、重度以外の障害者である短時間労働者は1人を0.5人としてカウント
◎対象となる助成金
雇用保険二事業に基づく「中小企業障害者多数雇用施設設置等助成金」、障害者雇用納付金制度に基づく「重度障害者多数雇用事業所施設設置等助成金」
4.不動産取得税の軽減措置
障害者を多数雇用する事業所が助成金の支給を受けて事業用施設を取得し、引き続き3年以上、事業用に使用した場合には、その施設の取得に伴う不動産取得税について、取得価格の10分の1相当額に税率を乗じた額が減額されます。
◎適用期限:平成29年3月31日
◎対象となる事業所の要件
雇用している障害者数が20人以上であり、かつ労働者の総数に占める障害者の割合が50%以上
※短時間労働者を除く重度障害者は1人を2人として、重度以外の障害者である短時間労働者は1人を0.5人としてカウント
◎対象となる助成金
雇用保険二事業に基づく「中小企業障害者多数雇用施設設置等助成金」、障害者雇用納付金制度に基づく「重度障害者多数雇用事業所施設設置等助成金」
5.固定資産税の軽減措置
障害者を多数雇用する事業所が助成金の支給を受けて事業用施設を取得した場合には、その施設についての固定資産税の課税標準は、当初5年度分に限り、課税標準となるべき価格から取得価格の6分の1に障害者雇用割合を乗じた金額が減額されます。
◎適用期限:平成29年3月31日
◎対象となる事業所の要件
雇用している障害者数が20人以上であり、かつ労働者の総数に占める障害者の割合が50%以上
※短時間労働者を除く重度障害者は1人を2人として、重度以外の障害者である短時間労働者は1人を0.5人としてカウント
◎対象となる助成金
雇用保険二事業に基づく「中小企業障害者多数雇用施設設置等助成金」、障害者雇用納付金制度に基づく「重度障害者多数雇用事業所施設設置等助成金」