厚生労働省は、職場のパワーハラスメントの予防・解決に向けた取組を推進するため、企業の中でパワーハラスメント対策に取り組む際の参考になるよう、「パワーハラスメント対策導入マニュアル〜予防から事後対応までサポートガイド〜」を作成し公表しました。
■パワーハラスメント対策導入マニュアル作成の概要
厚生労働省は、平成24年度、国として初めてとなる初となる「職場のパワーハラスメントに関する実態調査」(以下「実態調査」という)を実施しました。それによると、80%以上の企業が「職場のパワハラ対策は経営上の重要な課題である」と考えているが、予防・解決のための取組を行っている企業は全体の45.4%。特に、従業員数100人未満の企業では18.2%に留まり、約20%の企業が「現在は行っていないが取組を検討中」と回答しています。
◎職場のパワーハラスメントに関する実態調査結果概要
企業調査 | ◎過去3年間の相談件数 (回答:4,580社) ・1件以上相談を受けたことがある⇒45.2% ・相談を受けたことがない⇒52.9% |
◎相談のうちパワーハラスメントに該当した件数 (回答:2,083社) ・1件以上該当した⇒70.8% ・該当しなかった⇒25.4% | |
従業員調査 | ◎過去3年間のパワーハラスメントについての経験の有無 (回答:9,000人) ・パワハラをしたと感じたり、パワハラをしたと指摘されたことがある⇒7.3% ・勤務先でパワハラを見たり、相談をうけたことがある⇒28.2% ・パワハラを受けたことがある⇒25.3% |
◎パワーハラスメントを受けた従業員の対応 (回答:パワハラを受けた者2,279人) ・何もしなかった⇒46.7% ・同僚に相談した⇒14.6% ・社内の上司に相談した⇒13.6% ・会社を退職した⇒13.5% ・暫く会社を休んだ⇒5.4% ・人事等の社内担当部署に相談した⇒3.9% |
上記調査結果から、企業内におけるパワーハラスメントが日常的に発生しているにも関わらず、企業側が適確な対応措置が出来ていない実態が明らかとなりました。
このため、パワーハラスメント対策に取り組みたいと考える企業が参考にできるよう、6か月で一通りのメニューが導入できるモデルプラン(下記(1)〜(7))の実施を20社の企業で導入実験を行い、そのフィードバックを参考に作成したのが今回公表されているマニュアルとなっています。
【モデルプランの内容】
(1)企業トップからのメッセージの発信
(2)ガイドラインや就業規則などの社内ルールの作成
(3)従業員アンケートによるパワハラの実態把握
(4)管理職研修・従業員研修の実施
(5)会社の方針についての社内周知
(6)相談窓口や対応責任者を決めるなどの相談・解決の場の設置
(7)行為者に対する再発防止研修
このパワハラ対策導入マニュアルは、都道府県労働局や労働基準監督署、労使団体など全国で5万部配布される予定のほか、ポータルサイト「あかるい職場応援団」からも無料でダウンロードできます。
URL⇒http://www.no-pawahara.mhlw.go.jp/download.html
また、厚労省は、7月から、今回のマニュアルを活用した「パワーハラスメント対策支援セミナー」を全国約70か所で無料開催するとしています。