個人情報の保護を図りつつ、パーソナルデータの利活用を促進することによる、新産業や新サービスの創出と国民の安全・安心の向上の実現及び預金等に係る債権の額の把握に関する事務をマイナンバー利用事務に追加する等の必要があることから、個人情報保護法の一部改正法案が通常国会で審議されています。
■個人情報保護法の一部改正法案の概要
◎個人情報の定義の明確化
(ア)個情報の定義の明確化(体的特徴等が該当)
・特定の個人の身体の一部の特徴を電子計算機の用に供するために変換した符号であって、当該特定の個人を識別することができるもの。
・個人に提供される役務の利用若しくは個人に販売される商品の購入に関し割り当てられ、又は個人に発行されるカードその他の書類に記載され、若しくは電磁的方式により記録された符号であって、その利用者若しくは購入者又は発行を受ける者ごとに異なるものとなるように割り当てられ、又は記載され、若しくは記録されることにより、特定の利用者若しくは購入者又は発行を受ける者を識別することができるもの。
(イ)要配慮個情報(いわゆる機微情報)に関する規定の整備
「要配慮個人情報」とは、本人の人種、信条、社会的身分、病歴、犯罪の経歴、犯罪により害を被った事実その他本人に対する不当な差別、偏見その他の不利益が生じないようにその取扱いに特に配慮を要するものとして政令で定める記述等が含まれる個人情報をいうものとする。
◎適切な規律の下で個人情報等の有用性を確保
(ア)匿名加情報に関する加法や取扱い等の規定の整備
・「匿名加工情報」とは、特定の個人を識別することができないように個人情報を加工して得られる個人に関する情報であって、当該個人情報を復元することができないようにしたものをいうものとすること。
・「匿名加工情報取扱事業者」とは、特定の匿名加工情報を電子計算機を用いて検索することができるように体系的に構成したもの等を事業の用に供している者をいうものとすること。
(イ)個情報保護指針の作成や届出、公表等の規定の整備
◎個人情報の保護を強化
(ア)トレーサビリティの確保(第三者提供に係る確認及び記録の作成義務)
・一定の場合にあらかじめ本人の同意を得ないで当該本人が識別される個人データを第三者に提供することができる旨の規律について、当該規律の対象となる個人データから要配慮個人情報を除くとともに、当該規律により個人データを提供するためには、一定の事項を個人情報保護委員会規則で定めるところにより、あらかじめ、本人に通知し、又は本人が容易に知り得る状態に置くとともに、個人情報保護委員会に届け出なければならないものとすること。
・個人情報保護委員会は、前項の届出があったときは、個人情報保護委員会規則で定めるところにより、当該届出に係る事項を公表しなければならないものとすること。
・個人情報取扱事業者は、個人データを第三者に提供したときは、個人情報保護委員会規則で定めるところにより、当該個人データを提供した年月日、当該第三者の氏名等の記録を作成し、一定の期間保存しなければならないものとすること。
・個人情報取扱事業者は、第三者から個人データの提供を受けるに際しては、個人情報保護委員会規則で定めるところにより、当該第三者による当該個人データの取得の経緯等を確認するとともに、当該個人データの提供を受けた年月日等の記録を作成し、一定の期間保存しなければならないものとすること。
(イ)不正な利益を図る的による個情報データベース等提供罪の新設
個人情報取扱事業者(その者が法人である場合にあっては、その役員、代表者又は管理人)若しくは従業者又はこれらであった者が、その業務に関して取り扱った個人情報データベース等を自己若しくは第三者の不正な利益を図る目的で提供し、又は盗用したときは、1年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処するものとすること。
◎個人情報保護委員会の新設及びその権限
個情報保護委員会を新設し、現の主務の権限を元化
◎個人情報の取扱いのグローバル化
(ア)国境を越えた適と外国執当局への情報提供に関する規定の整備
この法律の一定の規定は、国内にある者に対する物品又は役務の提供に関連してその者を本人とする個人情報を取得した個人情報取扱事業者が、外国において当該個人情報又は当該個人情報を用いて作成した匿名加工情報を取り扱う場合についても適用するものとすること。
(イ)外国にある第三者への個データの提供に関する規定の整備
個人情報保護委員会は、この法律に相当する外国の法令を執行する外国の当局に対し、その職務の遂行に資すると認める情報の提供を行うことができるものとすること。