中小企業における経営の承継をより円滑化するため、後継者が贈与を受けた株式等を関係者の合意により遺留分の算定の対象から除外等する制度において、後継者の範囲を拡大するとともに、小規模企業共済制度において親族が事業を承継した場合に共済金の支給額を引き上げる等の措置が講じられます。
■中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律等の一部を改正する法律の概要
Ⅰ.中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律の一部改正
1.遺留分特例制度の親族外への拡充
(1)旧代表者の推定相続人及び後継者は、その全員の合意をもって、書面により、後継者が当該旧代表者からの贈与等により取得した特例中小企業者の株式等の全部又は一部について、その価額を遺留分算定のための財産の価額に算入しない旨等の定めをすることができる。
(2)(1)の合意をする際に、併せて、その全員の合意をもって、書面により、後継者が当該旧代表者からの贈与等により取得した株式等以外の財産の全部又は一部について、その価額を遺留分算定のための財産の価額に算入しない旨の定めをすることができる。
(3)推定相続人と後継者との間の衡平を図るための措置等に関する定めをする場合には、書面によってしなければならず、また、この合意として、後継者以外の推定相続人が旧代表者からの贈与等により取得した財産の全部又は一部について、その価額を遺留分を算定するための財産の価額に算入しない旨の定めをすることができる。
2.指導及び助言
独立行政法人中小企業基盤整備機構は、中小企業者の経営の承継の円滑化を図るため、旧代表者、後継者その他その経営に従事する者に対して、その経営の承継の円滑化に関し必要な助言を行う。
Ⅱ.小規模企業共済法の一部改正
1.共済事由の引上げ
(1)個人たる小規模企業者としての地位において締結した共済契約に係る共済契約者が、その配偶者又は子に対し事業の全部を譲り渡したときの共済事由を引き上げる。
(2)会社等の役員たる小規模企業者としての地位において締結した共済契約に係る共済契約者にあっては、65歳以上でその会社等の役員でなくなったときの共済事由を引き上げる。
2.小規模企業共済制度の利便性の向上
(1)共済契約の申込みに際して添えなければならない申込金を廃止する。
(2)共済契約者からの掛金月額の減少の要件を廃止する。
(3)分割払の方法による共済金の支給月数を変更する。
(4)共済金の支給を受けるべき遺族を追加する。
(5)その他、契約の解除の例外の追加及び掛金納付月額の通算に係る措置を講ずる。
Ⅲ.独立行政法人中小企業基盤整備機構法の一部改正
中小企業者の経営の承継の円滑化に関し必要な助言を行う業務を追加する等の措置を講ずる。
Ⅳ.施行期日
この法律は、公布の日から起算して1年を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。