厚生労働省は、平成27年4月から6月までに2,362事業場に対して実施した、長時間労働が疑われる事業場に対する労働基準監督署による監督指導の実施結果を取りまとめ、公表しています。この監督指導は、今年1月から労働基準監督署が実施しているもので、1か月当たり100時間を超える残業が行われたとされる事業場や、長時間労働による過労死などに関する労災請求があったすべての事業場が対象とされています。
■労働基準監督署の監督指導結果概要
全国の労働基準監督署が、今年1月〜6月までに監督指導した事業場の合計は、3,602事業場となっています。労働基準監督署は、是正・改善状況の確認を行い、是正が認められない場合は、書類送検も行われます。
◎平成27年4月から6月までに実施した監督指導結果のポイント
1.監督指導の実施事業場:2,362事業場
2.主な違反内容(1のうち、法令違反があり、是正勧告書を交付した事業場)
(1)違法な時間外労働があったもの:1,479 事業場(62.6 %)
うち、時間外労働(※注1)の実績が最も長い労働者の時間数が1か月当たり100時間を超えるもの:921事業場(62.3%)
うち1か月当たり150時間を超えるもの⇒203事業場(13.7%)
うち1か月当たり200時間を超えるもの⇒35事業場(2.4%)
うち1か月当たり250時間を超えるもの⇒12事業場(0.8%)
(2)賃金不払残業があったもの:252事業場(10.7 %)
うち、時間外労働の最も長い労働者の時間数が1か月当たり100時間を超えるもの:118事業場(46.8%)
(3)過重労働による健康障害防止措置が未実施のもの:406事業場(17.2 %)
3.主な健康障害防止に関する指導の状況(1のうち、健康障害防止のため指導票(※注2)を交付した事業場
(1)過重労働による健康障害防止措置が不十分なため改善を指導したもの:1,932 事業場(81.7 %)
うち、時間外労働を月80時間以内に削減するよう指導したもの:1,471事業場(62.3%)
(2)労働時間の把握方法が不適正なため指導したもの:475 事業場(20.1%)
うち、時間外労働の最も長い労働者の時間数が1か月当たり100時間を超えるもの:159事業場(33.5%)
※注1:法定労働時間を超える労働のほか、法定休日における労働も含む。
※注2:脳・心臓疾患の発症前1か月間におおむね100 時間または発症前2か月間ないし6か月間にわたって1か月当たりおおむね80時間を超える時間外労働が認められる場合は、業務と発症との関連性が強いとの医学的知見があるため。