厚生労働省の労働政策審議会は、12月9日、労災保険法の傷病(補償)年金と、厚生年金保険法の障害厚生年金の調整に用いる率について、平成28年度以降に適用される率を引き上げる厚生労働省の見直し方針を「妥当」とする旨の答申を行いました。

■調整率引き上げの概要

労災保険法の年金と厚生年金保険法などの年金を同一の事由により併給する場合は、労災保険法の年金に一定の率を掛けて調整されています。

今回の改正では、労災保険法の傷病(補償)年金と、厚生年金保険法の障害厚生年金の調整率が、現行の0.86から0.88に引き上げられる予定です。

◎労災保険給付と他の社会保険給付との関係について

労災保険と健康保険とがそれぞれ業務上外を分担して縦割の関係にあるのに対し、労災保険と厚生年金保険及び国民年金の保険給付とは横割りの組合せになっています。

  したがって、労災保険の保険給付と厚生年金保険及び国民年金の保険給付とは、ワンセットで併給されることになりますが、同一の事由について労災保険の給付と厚生年金保険等の給付が全額支給されることは、同一の事由について二重の填補が行われることになり不合理ですから、このような場合は、事業主の負担割合や国の負担割合等を考慮して一定の方法により調整されることになっています。

  なお、この調整は、労災保険の給付と厚生年金保険等の給付とが「同一の事由」について支給される場合に行うこととされていますから、例えば、労災保険の障害補償年金と厚生年金保険の老齢厚生年金、父の死亡による労災保険の遺族補償年金と母の死亡による厚生年金保険とが同時に支給されるような場合には、支給事由が異なるので調整されることはありません。

1.年金間の調整

   同一の事由(障害又は死亡)に関して、労災保険の年金と社会保険の年金とが併給される場合がありますが、このような場合には、労災保険の年金は、(2)の調整率を乗じて減じた額が支給されます。なお、社会保険の年金はそのまま全額が支給されます。

2.年金間の調整に用いられる調整率

   現行の調整率は、労災年金の種類別、併給される社会保険の年金の種類別に次表のような率となっています。

労災年金

障害補償年金

障害年金

遺族補償年金

遺族年金

傷病補償年金

傷病年金

社会保険の種類

併給される年金給付

厚生年金および

国民年金

障害厚生年金および

障害基礎年金

0.73

0.73

遺族厚生年金および

遺族基礎年金

0.80

厚生年金

障害厚生年金

0.83

0.86

遺族厚生年金

0.84

国民年金

障害基礎年金

0.88

0.88

遺族基礎年金

0.88

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