わが国の非正規雇用の労働者が雇用者全体の3分の1を超えるに至っており、人材が最も重要な資源である日本において、この非正規雇用の労働者を「人財」として企業、業界団体、公的部門等社会全体で育成し、その付加価値を高めて処遇の改善につなげる取り組みが急務であると指摘されています。

人事制度の見直し・モチベーションへの配慮

 定年年齢の引き上げをしなくても、事実上65歳まで働く人が会社にいるようになると、ポスト等、人事制度の見直しが求められます。

 例えば、定年年齢前に役職から外れるなどの役職定年を設けるのも一つの方法になります。しかし、業種や職種によっては、定年年齢到達というだけでは企業への貢献度が著しく低下することのない分野もあります。

 重要ポストから外れ、また、報酬も低下した労働者に意欲をもって働いてもらうのは困難な状況となることもあり、これに伴い企業内のモラル低下につながり、一緒に働く若手従業員への影響も考慮する必要があります。

 また、賃金面に関しては、各種公的給付の組み合わせ等によって、多様な生活スタイルに対応するように設定することが求められます。

 平成24年10月1日から改正労働者派遣法が施行されます。今回の改正では、法律の正式名称が「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律」から「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律」に改正され、当該法律の目的にも、派遣労働者の保護のための法律であることが明記されました。

 内定自体が一種の労働契約とみなされます。これを取り消すには客観的に合理性が認められなければなりません。

 内定取消事由は一般に誓約書等に記載されていますが、これらに該当すれば直ちに解除権を行使できるわけではありません。各取消事由には客観的な合理性が必要になります。

 単に会社の経営が思わしくないといった理由では合理性があるとはいえません。できる限りの努力をし、これ以上は既にいる従業員を解雇するしかないといった状況ならば、例外的に認められる可能性はあります。合理性の問題は個別に判断する必要があります。

 整理解雇の場合、解雇権濫用になるか否かの基準として、下記の4要件が過去の判例により確立されています。これらの要件を満たさない整理解雇は無効とされます。

整理解雇の4要件とは次のものをいいます。

人員削減の必要性が存在すること(人員削減措置が経営上の十分な必要性に基づいていること、またはやむを得ない措置と認められること)解雇を回避するための努力義務が尽くされていること(解雇に先立ち、退職者の募集、出向・配置転換その他余剰労働力吸収のために相当な努力が尽くされたこと)解雇される者の選定基準及び選定が合理的であること(被解雇者選定のための基準そのものが合理的なものであり、かつその基準の運用も合理的であること)解雇手続きが妥当であること(整理解雇の必要性・時期・規模・方法・整理基準等について、労働者側を納得させるため真剣な努力がなされたこと

 求人票記載の労働条件は、直ちに後に成立する労働契約の内容になるとはいえませんので変更することは可能ですが、労働者への説明等配慮が必要でしょう。

 就業規則の懲戒事由に当てはまったとしても、解雇予告をする必要がありますが、労働基準監督署の解雇予告除外認定を受けることができれば、解雇予告義務が免除されます。

 労働基準法は、使用者に対し労働者を解雇する場合には30日前に解雇の予告をすること、あるいは解雇予告手当を支払うこと、(またはそのミックス)を義務づけています。

しかし、

  • 天災事変その他やむを得ない事由のため事業の継続が不可能となった場合
  • 労働者の責めに帰すべき事由に基づいて解雇する場合であって、労働基準監督署の認定を受けた時

は、解雇予告義務が免除されます。

 労働基準法には、年俸制という概念がないことから、同法24条の定めに従って、その名称に係らずその支給額が確定しているものは、少なくとも「毎月1回以上定期に」賃金を支払わなければならないという事になります。

男女雇用機会均等法では、従業員の募集・採用にあたって

  • 雇用管理区分ごとに女性であることを理由としてその対象から女性を排除すること
  • 男女別の人数枠を設定すること
  • 年齢や婚姻の有無、通勤状況等の条件について、男女異なる設定をすること
  • 求人情報の提供について男女異なる取扱いをすること
  • 採用試験について男女異なる取扱いをすること

 なお、女性のみを募集することや、女性を優先的に扱う事も男女雇用機会均等法違反となりますので注意です。つまり、男性を優遇することも、女性を優遇することもダメということです。

 労働基準法第91条では「就業規則で、労働者に対して減給の制裁を定める場合においては、その減給は、1回の額が平均賃金の1日分の半額を超え、総額が一賃金支払期における賃金の10分の1を超えてはならない。」としています。

 どのような場合の減給でもこれを守らないといけないか、という疑問については、自動車運転手の例を挙げた以下のような行政解釈があります。

「使用者が、交通事故をひき起こした者を助手に格下げし、したがって賃金も助手のそれに低下せしめるとしても、交通事故をひき起こしたことが運転手として不適格であるから助手に格下げするものであるならば、賃金の低下は、その労働者の職務の変更に伴う当然の結果であるから法第91条の制裁規定の制限に抵触するものではない。」

 よって、職務の変更、役職の変更などに伴う減給であるならば制限は無いということです。

 従来と同一の職務に従事させながら、賃金額だけを引き下げるいわゆる降給については、労働基準法第91条の減給の制裁に該当しこの規定の制限を受けるということになります。

 退職金制度の有無や、制度を設けた場合の退職金支給率、算定方法その他の支給条件をどのようにするかは、会社の自由とされています。

 また、自己都合退職と会社都合退職の場合とで、支給率又は金額に差異を設けることは通例であり、法的な問題は特にありません。

 退職金制度を設けた場合には、「適用される労働者の範囲、退職手当の決定、計算及び支払の方法並びに退職手当の支払の時期に関する事項」を必ず就業規則に記載することが必要となります。

 一般的に、退職金の支給率や支給金額は、定年退職及び会社都合による整理解雇等の場合には優遇され、懲戒解雇又は諭旨解雇する場合には不支給又は減額するという内容のものが多くみられます。

 解雇は、労働法の中で以下の制限があり、この場合行うことはできません。

労働基準法の解雇制限

  • 業務上の傷病による休業期間中とその後30日間の解雇
  • 産前産後の期間とその後30日間の解雇
  • 国籍・信条などを理由とする解雇
  • 監督機関への申告を理由とする解雇

 従業員の採用選考について基本的な考え方は、

応募者の基本的人権を尊重すること応募者の適性・能力のみを基準として行うこと

であり、採用にあたっては以下のことを順守しなくてはならないことに注意が必要です。

 障害者雇用促進法は、障害者の雇用義務等に基づく雇用の促進等のための措置、職業リハビリテーションの措置等を通じて、障害者の職業の安定を図ることを目的としています。

 事業主に対し、障害者雇用率に相当する人数の身体障害者・知的障害者の雇用が義務付けられています。

 民間企業の障害者雇用率1.8%です。

 ほとんどの会社は、入社後、数か月間は「試用期間」というものがあります。

 試用期間とは、採用後に従業員としての適格性を観察・評価するために会社が設けた期間です。試用期間中は、基本的に解約権留保付労働契約が成立していると考えられます。

 試用期間満了時の本採用の拒否は、法的には労働契約の解約、すなわち解雇にあたるので、客観的合理性と社会的相当性が双方ともなければ、解雇権の濫用として無効となります。ただ、客観的合理性、社会的相当性が通常の解雇の場合に比べて認められやすいということです。あくまでも労働契約なので、簡単に本採用を拒否することはできないのです。

 ちなみに東京都職員の試用期間は6か月間でした。6か月の会社が多いようです。

外国人を雇うときの注意点

 外国人が日本に入国する際には在留資格が与えられます。この在留資格は27種類に分かれており、日本で行うことのできる活動が定められています。外国人については、その範囲で働くことができます。

 外国人を雇用する場合には、この在留資格とそれに基づく就労資格の有無、在留期間を過ぎていないかなどを

  • パスポート
  • 外国人登録証明書
  • 就労資格証明書
  • 資格外活動許可書

などの書類で確認することが必要です。この場合には原本を確認すべきでしょう。

 ポジティブアクションとは、男女労働者間の格差が生じている状況を解消して、女性の能力発揮を図るために、個々の会社が進める自主的・積極的な取り組みのことをいいます。

 男女平等、という流れになってからいまだに格差が解消されていない現状のため、ポジティブアクションは、女性を優遇しても男女雇用機会均等法違反とはなりません。具体的には厚労省から指針が出ていますが、たとえば、女性が4割に満たない場合、女性を優遇して採用することがあげられます。

 経営者が社員に対する話の中でポジティブアクションについて話題にあげると徐々に浸透していき効果的でしょう。女性の活躍の場を広げることにより、男性にとっても競争力がつき、相乗効果が出て御社の発展に多少なりとも影響するのではないでしょうか。

 昨今は社内の人材に余裕がない状況なので、ひとりでも、さぼり社員・ぐーたら社員がいると会社の業績のみならず、他の社員へも悪影響が出てしまいますよね。

 そんなさぼってばかりいる社員への対処法のひとつとして、その社員に部下・パートナーをつけて仕事をさせるという手があります。

 そうすると、上司は、部下はどうだ?、などの声をかけることができ、そのぐーたら社員は部下の面倒を見ないとならなくなり、ぐーたらしている場合でなくなるからです。部下からのプレッシャーもあり、部下の指導・育成面における隠れた能力を発揮するかもしれませんね・・。

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